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2010.08.21 Sat BOSS DS-1 Distortion 改造②

 
ボスのDS-1の改造なんですが、だいたい落ち着きました。
忘れないうちに書き残しておきます。
色々調べたんで、今回は長くなるかも…

BOSS DS-1 Schematic
これは拾ってきた台湾製DS-1の回路図です。細かいver違いもあるかもしれませんが、大筋は同じなのでこれを元に話を進めます。
日本製のDS-1だとダイオードやトランジスタ、オペアンプの品番、抵抗の有無、コンデンサの値など色々と違っていたりするようです。

しばらく試行錯誤していたんですが、結局した定数変更は
R9 22Ω→220Ω
C5 0.068μ→1μ
C11 0.022μ→0.068μ
C12 0.1μ→0.047μ
だけになりました。
まだ追い込む余地はかなりありますが、自分なりのModの方向性は分かってきたので、一端ここで止めておきます。

自分はストックの状態のDS-1でも、トランジスタ、オペアンプ、ダイオードと多段で歪ませることで得られる倍音豊富な歪み、トーン一つで大きく音色を可変しようというコンセプト、結構歪ませられる割にはニュアンスが出しやすい…そういった点は気に入ってます。
なんですが、いかんせん高音だけが出ていて耳に痛く、トーンを少し絞った位置でしか使い物にならないのが難でした。
DS-1の長所は生かしたまま、この欠点を改善するため施した改造を解説していきます。

①信号ラインのコンデンサの変更
一般に、DS-1を通した音は低音が不足しているように感じられるはずです。
この点はKeeley modのようにC1、C2、C5、C9、C13、C14などハイパスフィルタとして働いている信号ラインのコンデンサの定数を底上げすれば改善されると思います。
これらの定数の吟味も突き詰める上では必要だとは思うんですが、まずは②を何とかするのが先決だと思ったので、今回はとりあえずC5の定数変更だけでやめてます。

②トーン回路の改良
やはり出口に近い方が出音に大きく影響するはずです。
DS-1の場合、増幅したり歪ませた後、最後にビッグマフに似たトーン回路を通過しボリュームを通って出力に向かいます。
ビッグマフトーンの細かい式は、一庵堂さんのページを参照して下さい。

TSC DS01
そのビッグマフ回路をDS-1の定数でシミュレーションしたグラフです。C1をC11、C2をC12、R1をR16、R3をToneポットとして見て下さい。
赤っぽい線がToneを左に回しきった時の、緑色が12時にした時の、水色が右に回しきった時の特性グラフです。
本当はDS-1のトーンは更に抵抗が入っている所が異なっていますが、特性のカーブはそこまで大きくは変化しないはず…
そもそも音に影響するのはここだけじゃないので、トーン回路の特性の大まかな雰囲気が掴めればいいかなと思ってます。

ギターの周波数帯を考えると(6弦E:82.407Hz 1弦E:329.628Hz 1弦12フレE:659.256Hz 加えて奇数時、偶数時倍音)、結構需要な中音が削られているようです。
俗に言うDS-1の音抜けの悪さはここから来てるんじゃないかと。

TSC DS02
でこっちがコンデンサを変更したグラフなんですが、中域のヘコみは元の定数よりは改善されていると思います。
低音も少し持ち上げられたようです。
コンデンサや抵抗の値が近いほど、特性がフラットに近くなるらしいです。
これはあくまで一例なんで、コンデンサ2つと抵抗2つの値をシミュレートしながら調整し、自分好みの効き方に仕上げてみるといいと思います。

③トランジスタの増幅率変更
DS-1の回路は、大まかにトランジスタ増幅、ダイオードで片側クリップ、オペアンプ増幅、ダイオードによるクリップ、トーン回路によるフィルタで構成されています。
前段の歪みが後段へ印加されていき、更に高ゲイン時にはオペアンプ自体も歪みを発生し、豊かな倍音を発生させています。
その一番最初にあるのがトランジスタなんですが、どうもC3で低音をカットしたり、R6で増幅の中心軸をずらしたりして、最初に高音側ばかりを歪ませているようです。
このためハイばかりが目立ち、逆に低音など他の帯域が薄っぺらに感じられます。
トランジスタ段のこの高音の歪みを減らすことで、相対的に中低域を増強できます。

しかしクランチ時には却って高域だけ歪んでいるほうが音の分離は良くなりますし、あると歪みに輝きを与えるので、減らし過ぎるのも勿体ない…
そこで、R9を22Ωから220Ωに下げると少しゲインが落ち、耳障りな高音が抑えられつつ、Toneを12字方向にした時に若干高域の細かさ、煌びやかさが出る程度には残りました。

…以上です。
今回は元々の特色を生かしつつ少ない変更で大きな効果を得ようと悩んだ結果、数か所の定数変更しかしていません。
好みにも寄りますが、それでも改造前より利用範囲が広くなったと思います。
トーンも12字方向がミドルを少し強調気味の音で、それより上のハイミッドが欲しい時は右に、ベースが欲しい時は左に回せばよい、という感じで使いやすくなりました。
R9はもう少し小さな値でも良かったのかもしれません。
ミッドもトーン回路でもう少し落とした方がよかったでしょうか、まだ研究が必要ですね。
 
今回はオーディオ用の高級なコンデンサを使ったりはせず、安物や元々付いていたもので済ませましたが、ここに拘ることも可能です。
クリッパも結局元に戻してしまいましたが、D4D5を非対称にしたり、雰囲気は変わってしまいますがLEDを使って芯のある歪みにする手もあります。
ゲインが0でも歪みすぎと思うならば、トランジスタやオペアンプの増幅率を落としたり、ダイオードを直列にしてクリッピング電圧を下げるのもいいと思います。
DS-1のトランジスタの増幅段を、Mosfet利用のSuperHardOnの回路で置き換えるという面白い案もありました。
要するに単純な回路ゆえ、アプローチの仕方も様々なものがあるわけです。
有名どころのモディファイでも、Keeley以外にもANALOG.MANだったりWEEDだったり多様な考え方があります。
DS-1は定価もそんなに高くないディストーションですし、持っているポテンシャル自体も低くはないと思うので、自分で色々いじってみるのもいいんじゃないでしょうか。
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Comments

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どらへモン : URL デュアルとは

Edit  2013.11.20 Wed 09:49

はじめまして。国産DS-1の愛用者です。
回路図を拝見して驚いたのですが、うちのDS-1はオペアンにシングルのTA7136APが使用されていますが、この回路図だと台湾製の現行DS-1はデュアルなんですね。
これだとかなり音が違うんでしょう。
BOSSの見解では回路は同じだと言っていたので、ちょっと驚きました。

zuzuzaza : URL Re: デュアルとは

2013.11.26 Tue 02:56

後期日本製(LED常時点灯)と台湾製DS-1は所持したことがあるのですが、比較すると日本製の方が音の重心が低く感じられました。
これは日本製の物のパーツの定数が、少しロー寄りの設定になっている為だと思います。
それと若干歪みの質が違う気がしました。
こちらが多分そのICの違いによるものだと思います。回路を見ても、その違いを補正する為かICの前段に片側だけダイオードクリッピングが追加されているのが見えますね。

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